職人魂

昔からホワイトカラーと話すより、
職人と話すほうがいい。

昔の技術の仕事をしていた時も設計しているより、現場で職工の技術を見たり真似をして石組を手伝ったりしていたほうが好きだった。

こちらが好きなものだから、職人も気心を知っていろいろ教えてくれた。

けんち石を削る時は、この角をこうして・・・とかめんどくさいだろうに、ひよっこのこの技術者に教えてくれたものだ。

作るのが好きという気持ちの根底な部分は、どでかい構造物を作るのも、手のひらに入ってしまう念珠のような小さなものまで全く同じ心が働く。

銅器の町へ行けば、鋳型から絵付けまで職人の手元を見ている。
塗りの職人も木地の職人も蒔絵の職人もきりがないほど飽きが来ることはない。
悪いことに自分の手で同じ作業をしたくなってしまうから始末が悪い。

僕の店で家紋や位牌の文字をお願いする職人は区内に何人かいる。
でも家紋を描かせたら、この人の右に出る人はいないだろう。

弓道で使う矢筒のこんなでこぼこの表面にまで紋を描く。
つてをたどって持ち込まれることも多いのだと自慢げに語ってくれた。

こよりで組んだ時代物の矢筒なのだそうで、地元の職人に手に負えなくてはるばる鎌倉持ち込まれたのだという。

なかなかのできに自慢をする気持ち、いたいくらいよく解る。

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