蛙の子
勉強嫌いの三男が暮れからコツコツ何やらやっていた。
汚い部屋がなをいっそう散らかって、何が何だかわからないほどに散乱していた。
「おっ父(我が家ではそう呼ばれる)タイヤの外し方教えて」
「何んで」いぶかしがって聞き返すと、
どうやら無断で学校まで乗っていたママチャリのタイヤがいかれてしまったのだそうで「アウターを取り替えたいんだ」という。
中のビートが見えるほどタイヤが割けているようなもの。
いったいどんな乗り方をしたのか知れないけれど、タイヤチューブが透けて見えるほど。これは重症だ。
問い質すと友人とウイリーして遊んだとか言う。
馬鹿たれ。
ママチャリでウイリーやるか・・・普通。
パンク修理のやり方を実地で教え、道具一式を渋々貸し出すことにした。
最近部屋を覗いたら、見たこともない白いピッカピカの新しい自転車が部屋の真ん中をドーンと占拠していた。
ん?あいつのはどこにでもあるスカイブルーのだったはず。
手に負えなくて買ったのか?
「塗りなおしたのよ」後ろから上さんの声。
狭いベランダを確かめてみると、やつの古いフレームはない。
白いスプレーの痕跡が残っていた。
どうやらそのようである。
全く予想を超えたところで作業は進んでいたようであった。
次に次男。
「入学できたら一周してくる」という。
いつ勉強してんのと周りの心配をよそにマイペースを貫くやつ。
「どこ一周するの?」聞くと、
始めは房総半島を自転車で回ると言っていた。
そのうち山梨に行く。と予定がくるくる変わる。
友人たちと着々計画を練っているようで話は大きくなる傾向にある。
今まで自転車なんて一言も口にしたことなんてなかったのに。
ふ~ん。
次男といい三男といい、親の趣味が子供に遺伝するもんかねぇ。
親は仕事に忙しくそんな姿見せた事なかった(一回だけ見せたっけ)のに。
こんなことが遺伝するなら、そのうち親不孝もされることになるのかな。
ちょっぴり不安も湧いた。
日蓮宗の紅水晶と水晶 2点
お子さんにということでご依頼を受けた二点。
本当はバラ貴石の仕立を考えたのだけれど、あいにく綺麗な道具が見つからず赤瑪瑙の仕立にさせていただいた。
子供さんだからどうでもいいという考えはうちのお客様には少ないように見受けられる。
子供さんのうちにいいものに触れることは、やはり大事だと思う。
大きくなって、明るい房では・・・と思うようになった頃には、シックな房に交換したらよいでしょうね。
紅水晶共仕立 手毬房
水晶に赤瑪瑙仕立 手毬房
浅草のそら
二天門
まだ、二天はご不在のようだった。
二天門ー二天=門 である。
主のいない門は何とも寂しい限りだし、間が抜けて見えてしまう。
早くお戻り願いたいものだ。