トンネル

この絵は、30年前竜飛だか大間へ向かう道すがらの写真だったと思う。

雨男の僕の時らしく、しとしと雨が道路をぬらしていた。
今はどうなったか知らないけれど、当時は素彫りのトンネルがあちこちに口をあいていた。

トンネル内からのシルエット写真は好きでよく撮っていたがこれはその一枚。

だいぶネガが痛んでしまっているのは、30年という時の隔たりを充分に感じさせてくれくれる。
大のトンネル嫌いが、トンネルの構図で写真を撮るのはは大好きと言う相矛盾さ。

トンネルをくぐるとそこは雪国だったことは、山越えのトンネルでは良くあることだった。

走りなれない時分はその変化が頭にあらず、トンネルを出た先で、アイスバーンにひっくり返ったり、雪の吹き溜まりに突っ込んだりしたものだった。

けれど考えてみれば元気だったなぁ。
木枯らしが吹き出すと、小瓶を忍ばせて、わざわざ冬の峠道を選んで走ったのだから。

峠の陽だまりを見つけて、湯を沸かせて紅茶を入れるあの楽しさはなかなか口で説明できない悦の世界であった。

昔のツーリング仲間も年のせいか林道はやらないと言っていたし、自転車の性能も道路も格段に良くなったのに、反比例して、何か失ってしまったものが多いように感じるTONちゃんなのである。

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