麝香(じゃこう)のお香

本麝香(じゃこう)を使用したお線香はなかなか見つからない。
よほど高価な香には若干含まれているようだけれど、
麝香と銘打つのは、なかなか今の時代、勇気がいるものだ。

入手困難なのだから仕方ないといえば仕方ないけれど、
ないとわかるとますます香りを聞きたくなるのも人情。

お客様の注文に応じ、
京都の香司から細いパイプで取り寄せて聞いてみた。

一箱は、お試し用にとっておくつもり。

ああ。なるほどね。
確かに麝香の甘さが他のベースの素材に引き出されている。

でも麝香が立ちすぎてもちょっときついかな。
僕には大観の伽羅と同時に焚いてみるのが、
よいように思った。

ここも人間社会

最近メールの確認に時間がかかりすぎる。

アドレスを公表していることもあるけれど、
メーラーにフィルターをかけても
飛び込んでくる300通を越すスパンメールを処理するのに
最近は辟易してきた。
海外からのメールもうるさくなってきた。

お客様からの大事なメールを読み落とさないようにと思うから、
読みたくもない下品なコピーも一応は目に障る。
どうせいやでも時間がとられるならその中からも、
人を惹きつける方法とは…
などと、コピーの秘訣を盗もうかとも思うけれど、
あまりの下品さに途中でいやになる。

人間社会である以上、表もあれば裏もある。
ネット社会も人間社会そのものだからこうなるのは
しかたないことだけれど、健全でないことは確かだな。

ネットいじめなんていうのもあるんだね。
まあ道具をどう使うかは、人の自由度だとは思うけれど…

でもそろそろ大人の段階に育っても良いと思うけれど。

観音菩薩

観音像を写仏されて送られた。
仲良くなったシンガポールのお坊さんからである。

真摯な修行のスタイルは、胸を打つものがある。

自らの血をしぼり書写された。

バーチャルタワー

浅草は朝からどことなく人が多い。
町がどことなく落ち着かない。

土曜日、当然と言えば当然なのだが…
とにかく落ち着かない。

落ち着かない時は、だいたい何かある時。

で、店を閉め買い出しに車で錦糸町に向かう。

普段なら人通りの少ない、言問橋、業平橋、押上近辺が
夜の8時近くになっているというのに人垣が切れない。

事故でもあったのかと心配したが、帰り道ようやく答えを得た。

都電柳橋車庫跡付近を走っていると川むこうに青い光が4筋。
光はかなり上空で交差していた。

新東京タワーの幻想タワーだったのだ。

数年先には、現実の鉄の塊が同じ高さで建つ。
間もなくALWAYS三丁目の夕日のような光景が見られるのかな。

宵闇の中に光の新東京タワー

和蝋燭

燭台の試験をずーっと続けている関係で
和蝋燭を何本も燃やし続けている。

こんなに和蝋燭を燃やし続けたことは過去にない。

でもおかげで和蝋燭の炎のよさを改めて認識させられた。

見れば見るほど、炎の高さと言い、揺らめきと言い
美しいなあとうっとりしてしまう。

これから、冬に向かって心がしぼむようなことがあったら
炎の暖かさに、心をなごませよう・・・

あ!そうか!

和(なご)む蝋燭だから、
和蝋燭 か。

GNPかGNHか

西をネパール、南をインド、北を中国に挟まれて
つい先まで鎖国を国策としていたヒマラヤの小国ブータン

仏教(チベット仏教)を国境とした政教一致の国。

ブータンの国名こそ、うっすら聞いたことはあっても、
その国が何処に位置し、何を国是としているのか、GNPはどうなのか、
どういう歴史をもつのか、民族は、政治体制は・・・・

などなど、意外と知られていない。
かく言う僕も全くと言ってよいほど未知の国のひとつである。

興味をもったのは仏教国であることがきっかけだった。

何よりこの国を見ていると、古日本を連想するのに難しくない。

物質の豊かさを幸福の価値観とし信じ、
高度成長を果たしてきた日本の今を見るとき、
何か大事なものを失った感を払拭しきれないのは、
共通した意識ではないだろうか。

何よりここブータンの国是はGNPの成長を願うよりも
国民総幸福量つまりGNHを追求する。

仏教を理解せずにはこの国の本旨を理解することは難しいだろうとは思う。

物質に価値を置くのではなく
どれだけ国民が幸福つまり、心の豊かさを持てたかなのである。

ブータンの国民総幸福量の概念には次のように説かれている。
「目的と手段を混同してはいけない。
経済成長自体が国家の目標であってはならない。

目標はただひとつ、国民の幸せに尽きる。経済成長は幸せを求める
ために必要な数多い手段のうちのひとつでしかない。そして、富の
増加が幸福に直接つながると考えるのは間違いである。」
(「選択」「ブータン発「国民総幸福量」という価値観」より)

大国に挟まれながらも地理的な優位性から独自の発展を許された国と
島国ながらも地政学的にも怒涛の世界史の中に飲み込まれざるを得なかった日本を
同列で比較することは、せんない部分はもちろんある。

心の豊かさを国の発展の目的に置いた具体的に発展してきた国。

何か再発見できるものもあるのではないかと思う。