リアル散華、よき驚き

なんてきれいなんだろう!

花の名前は、本当に覚えられない。
こまったものだ。
さっぱりだ。

昔、高山植物が好きで、山に入ったときも、
図鑑は手放せなかった。
けれど、「きれい」で良いような気になってしまったら
それ以降、全然、まったく、どうしようもなく、
記憶に残らなくなってしまった。

なんでこんなにスゴイ配色が生まれるのだろう。
神様の絵の具箱は、スゴイの一言だ。
念珠のデザインを考えるとき
色の組み合わせを
自然界に、そのモチーフとなるものが、ないかとよく探す。

緑の芽が日を浴びて花を咲かせると
想像もできないピンクであったり
紫であったり、黄色であったり、
それが枯れて茶色に変わり土に還る。
この配色の大胆さや形状の自由さに驚く。

自然界は、良き師としか言いようがない。

なかなか売れないけれど
散華(さんげ)がある。
それもリアル散華。
お寺の法要のときに使う。
法要の途中で式衆のお坊さん方がまかれる
檀家のかたたちはありがたい物として、拾って持ち帰る。

蓮の花びらをかたどったもの
菩提樹の葉をかたどったもの
リラの花びらをかたどったもの

「使ってくれないかなあ」いつも、手元に忍ばせてはいるが
なかなか気付いていただけない。

変哲のないボール紙を切っただけの散華も良いけれど
「わーきれい」と檀家さん、何より、その子供たちが、
「あっ」と域をのむような「心打つ驚き」を
幼い心にインプットしてもらいたい。

ありがたいから持ち帰るのもよいけれど
きれいだから花を摘む
散華も摘んでいって欲しい
そんな演出をされてみても良いのにな…

なーんて勝手なこと、考えてしまう。