伸びやかに空のキャンバスに雲の筋が
秋の近づきを装っているみたいだ。
相変わらず暑いけれど風は心地よい。
伸びやかに空のキャンバスに雲の筋が
秋の近づきを装っているみたいだ。
相変わらず暑いけれど風は心地よい。
子供時代の夏は、とにかく蝉採りを筆頭に、ちょうちょ採り、トンボ採りに走り回っていた。しかし採った後ちゃんと標本にして夏休みに宿題として提出した記憶は一度しか覚えていない。
じゃあ、あとはどうしたのだろう。
懸命に思い出そうとしても記憶にない。
それほど、虫の命を軽く考えていたのだろう。
ある日、母にこっぴどく叱られた。
「あんたがこうされたらどうするの」
単純な言葉だったが、
まあいやだろうな・・・
カゴに閉じ込められたまま餌も与えられないでミイラになって捨てられちゃうのだから。
人間ならたいへんな拷問だ。
実際はそんなことがあるわけはないのだけれど
無視の気持ちがトンと子供心に落ちたのだ。
恐怖心を煽りながらも結果的には
「悪いことをすれば自分に帰る」と深層意識に刷り込んでくれる。
単純ながらも、道徳律に反すること、良心に恥じること、悪いことをすると呵責を覚えるようになる。
せみ時雨を聞くと
ふと、そんなことを思い出す。