朝、家を出ると、
「ムム、臭い」
なんとなく臭い。
店までの道すがら
「やはり臭い」
店の開店準備をしている最中も
「なんでえ?臭い」
下水の匂いに思えた。
うろうろと辺りを物色するが
先程の雨で下水が逆流した感じにも思えない。
表通りまで出てみるとさらに臭い
自転車を引っ張り出して本格的に調査する。
風上に臭いの元がありと踏んで、走っていくと
どうやら、墨田川のほうから風は吹いている。
ムッとする湿り気のある悪臭が、確かに吹いてきている。
吾妻橋の橋上から下を覗くと、
川面が黄河の如くによどんでいる。
これか。
何のことはない、ヘドロの臭いかと、合点がいった。
ボラも遡上する川に再生してきたけれど
ちょうど、強雨でかき混ぜられた格好で、
みごとに、本性がさらけ出された感じに映る。
壊した自然を元に戻すというのは、並大抵の努力じゃできないなと
改めて教えられた、今朝の教訓だった。