念珠修理は、うちの強みのひとつなのかもしれない。
(仏壇でも仏像でも掛軸でも修理するが、職人に出さざるを得ない。
自分の手作業は念珠となる)
仏具を扱う店ならば、
どこでも修理を受け付けないところはないだろうが、
一部のを除いて修理は自ら行なう。
時間に追われるなかの手作業なので、
迷惑をおかけしてしまうこともあるのだが…
嫁に出した娘が、里帰りするようなもので、
自分のところの念珠の変化の様は、
本当に千差万別なのであり、嬉しくもある。
ブレス念珠などとハイカラな名称を冠しても
もとは念珠でありれきとした法具。
トイレ、風呂場、就寝時は、
はずすものと、作り手は当然と思っても、
嫁ぎ先には、様々な環境にあって、
皆、違った顔になって還ってくる。
楽しくもあり、悲しくもありだ。
皮脂の輪ができるほどつけたままなのだろう。
頼りにされているのはわかるけど、
「たまには休ませてあげてね…」
などと、糸を通し直ししながら、小声でつぶやいている。