彼岸月

ラリーの夢だった。

北に向かう高速道路上を快走していた。
トップを走っていてすこぶる気持ちはよいのだが、そうも言っていられない状況であった。
何故ならひどい天候だったからである。

お先真っ暗とはこういうことを言うのだろうか。
暗雲たちこめていて、バケツをひっくり返したように振る仕切る雨。

ワイパーがはちきれんばかりの勢いで、ウィンドウの雨を弾き飛ばすのだけれど、全く間に合わない。
それよりも何よりも、道路の左右は川のように濁流となって、その水がついに溢れて路肩から越水してきていて左右の一車線は、走れるどころではなくなっている。追い越し車線をひたすら走る。

(どうも台風と一緒に北上しているみたいだ)
そんなことを思った次の瞬間、数百メートル先の道路は冠水して湖と化している・・・。

「もうだめ」
そう思った瞬間、パーキングエリアが見えた。
もちろんあわてて滑り込んだ。
(しばらくここで避難しよう)

休憩室に入るが人っ子一人いない。
遅れて、後ろを走ってきたS氏も避難してきた。

しばらく二人で休んでいたがレースがどうも気になる。

「戻ろうか」どちらからともなく声を掛け合い、(またあの悪天候の中に戻るのか)口には出さず、勇気を振り絞り立ち上がった。

「せっかくの記念だから、写真を撮ろう」
デジカメを取り出してSさんを撮ってあげる。

彼を中心に、宇津井健と何人かが同時に写りこんでいた。

あれ?5人もいたっけ?彼に見せると、「気持ち悪い事いわないでよ」と言いながら、僕を残して立ち去ってしまった。
一人残されて、ようやく
(おっかねえ・・・)と言いつつ目が覚めた。
 
何でこんな夢? 
ア!そういえば・・・
昨日、仙台の菩提寺から「年貢を納めよ」と案内が来ていたっけ。

母の田舎の寺では護持費として毎年「供養米」を請求される。
都会に住むものには、お金に換算してよいことは暗黙の了解となっている。

「田舎だからお米なんだよ。熊本の上さんの実家からお米を送ってもらおうか」冗談を言っていたのだ。

月曜日に早速、振り込むとしよう。