信心
ご夫婦で表装のご依頼のため来店された。
円満を絵に描いたようなふくよかなご主人が西国を巡られたので、お願いしたいとのこと。
よく見ると、軸の中心に収まる観音様は、手描きだった。
大きな半紙の中心に写仏をして、そこにご朱印をいただいたものだった。
印刷で作られた巡礼軸とは趣きが違うからすぐにわかる。
「M先生に描いてもらったものなんですよ」
すぐにその顔が浮かんだ。
M先生はうちに何度も足を運んでくれては・・・正しく言えば自転車でなのだ。80をとうに超えた齢ながら向島から颯爽と飛ばして凝られていた。
「近所でね、以前に描いてもらったものでね・・・」
まだまだ巡礼に行きたいのだと顔に滲み出ておられた。
80を超えた体を心配する奥様の心配顔をよそに・・・
信心が体を引っ張っていくのだろうなあ。
スカイツリーの足元にお住まい。
土日は見物客で大変なんだとか。
TON店長もその一人なんですけど・・・
浅草のそら
浅草のそら
教えられる
仏像を求めにいらしてくださったゲストとしばし歓談。
もう一年以上考えていてくださったんだよね。
「ご利益を考える仏様ではないですよねこれは」
というお話しが事の発端で未来仏である弥勒仏を奉る心根を問うてこられた。
東山君を彷彿とする彼は、もっとも本質的な問いかけをされた。
生真面目すぎるくらい奉るということに真摯なのだど感じ嬉しくなった。
WEBで自分も広めたいとおっしゃっていたけれど、僕自身はWEBで神仏具を販売するということに最近迷いが生じていると素直な気持ちを話した。
僕がWEBで仕事を始めたのは1996年。全くの草創期だった。いろいろあって2000年に仕切りなおして再スタートしたときでさえ、本気モードのこの業種のWEBショップは見当たらなかった。
だからとことんお客様とやり取りできた。
コツコツ積み上げる事ができた。
モールも黎明期から成熟期に入ると、同業者が雨後の竹の子のように生まれてきた。
それはそれでいいのだ。
けれど、ネットの特異性を使って便乗しての商売の仕方が横行し始めて・・・いやそれがビジネスモデルと言う奴なのかもしれないけど。
でも自分には、自分の商売の考え方がある。祈りの用品には祈りの用品としてのまじめさがなければいけない。どうしても引っ掛かる。
今の価格優先の風潮には気持ちとして沿えない。
そんなことを彼と小一時間話し合った。
アドバイスにはならなかっただろうと思うけれど何かしら納得してくれたみたい。
またお話ししましょう。
浅草のそら