<修復の為にお預かりしてきたお仏壇>
今回の地震では、仏壇の被害もすこぶる多かった。
栃木や千葉の被害状況が以外に、報道されず知らされなかったように、東京都内もマンション、特に上層階の住人は死ぬほどの恐怖に見舞われた。
免震装置の付く建物ならまだしも、通常の耐震設計では、柔構造に設計されているぶん揺れてエネルギーを発散する設計になっているわけで、建物は確かに残る。が、その中にある人や家具や電化製品はところ構わず転がりなぎ倒される。
今回の地震に遭遇することで・・・
立っているものは横になるということが自然の理であることを、いやほど実感させられた。
写真の仏壇のお客様は、家をたまたま留守にしておられたので、帰宅して仏壇が寝転がっていたのを知った。不幸中の幸いで家人の怪我はなくすんだ。
ここまで壊れるのと思うほどの痛みようだった。
もう破棄したらと言われることが多いと思う。
でも思い入れのある家の中心たる仏間を僕にはどうも勧める事はできない。
ある一定の水準の仏壇なら、日本の職人たちは見事に直してくれる。
それを信頼して、いつも預かってしまうのだ。
今日は過去帳を置くための見台が地震の時「畳に落ちて壊れたの・・・」
と、恥ずかしそうにお持ちされたご婦人がいた。
見ると、見事に一本足の部分が縦に割れてしまっていた。
「だめならしょうがないのだけど、生まれてこのかたずっと一緒だったものだから」
と未練を語ってくれた。
そうなんだよね。お金じゃないんだ。思い入れなんだ。
その場で接着させていただいて安心していただいた。
仏壇や仏具というのは、「想い」を「重い」もの、「尊重」するものとして取り扱う仕事なんだよね。
いまさらながら心の納戸にしまってあったことを思い出した。
ありがとう。