ハピバースディトゥあかちゃん♪

お客様は少なかったけれど、実に豊かな一日だった。

昼過ぎに来店された若者にとくとくと貴重な説教を頂いた。
過去に神社仏閣でお守りと思い、せっせと腕輪念珠を買い求めた。
親や親戚にもよかれと買い求めた。
けれど、一年もすると切れた。

人にあげた念珠も切れた。
これでは手につけたいけど付けられない。あげたことがマイナスに出た。
買った寺にクレームを入れた。「製造元に行ってくれ」と卸し元を教えられた。
今度はそこにクレームを入れた。
すると、「切れることはあたりまえのこと」
とけんもほろろだった。

何でゴムを改良する努力をしないのか。
この業界は、おかしい。

僕は、その言葉を単に構造上だけのクレームとは思えなかった。
聞くと、人一倍熱心に仏教を勉強している子だった。
人の性善説をなんとか立証したいと、我知らずに求めているように感じた。
その期待に応えてくれなかった心の痛みも含まれている気がした。

少なくとも、仏教の枠の中にいる者である以上、
それに応える義務があろう。

ぼくも彼の立場だったら同じことをしたかもしれない。
と、思いながら小一時間ズーっと立ったまま聞いていた。

業界を代表するつもりはないけれど、憤懣やるかたないその思いは、
確かに当を得ていた。
「クレームは前進の糧」となるところ、糧をことごとくこぼしてきた同業界。
何百円、千円そこそこの念珠。しかも、仕入れ商品なのにそこまでかまってられないくらいに捉えた寺院側。
僕も憤懣やるかたない気持ちになっていた。

笑顔を見せて帰られたが、求めに応じる態度の大切さを教えられた。

産休に入る子がいて帰る直前にささやかなおめでた会。

お腹の子の誕生日かな。
だからお母さんは二の次なのだ。

お客様が数人おられたが、一緒に祝福してもらおうなどと思いながら…
「ハピバースデイトゥあかちゃん」で送り出した。

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