白いカーネーション

毎年5月の第二日曜日が母の日なんて、誰でも?知るところだろう。

小学校の頃、母の日が近づくとお母さんに何をあげる?と、とかく話題になった。

学校側でもカーネーションを用意してくれたり、
プレゼントを工作の時間に手作りしたり、
母の似顔絵を描いたりと、学校上げて忙しくなった。

同じクラスに母親のいない友人がいた。
いつも我が身のことのように気になった。

何故なら僕には父がいなかった。
当時は父の日はあまり熱心ではなかったようで、
父のいない僕にはそれだけでも、ホッとするのだった。

もしかしたら母の日と同じように父親の似顔絵を描いたり
プレゼントを用意したりと慌しかったのかもしれないのだが、

人間の記憶とは、都合の悪いことは海馬の奥底にしまいこんでしまうようで
記憶にまったく残っていない。

もしこの母の日のように「お父さんに何か送りましょ」と
学校あげてお祭り騒ぎになったらいる場所がなくなってしまう。

どうしよう・・・さぞかし悲しい思いになったことだろう。

だから母の日が近づくにつれ、
友人の心のひだが痛いくらい伝わってくるのだった。

その日の前日、だと思うが・・・
担任の先生は、「○○さんは、おかあさんはいなかったね。君がおうちではお母さん代わりなんだよね」

ぎょっとした。
わかっていたんだ(担任だものあたりまえなことだが)・・・

「だからそういう人は白いカーネーションをあげるんだよ」

「おうちに帰ったら、仏壇に「産んでくれてありがとう」と言って、カーネーションをあげて下さい」と一輪の白いカーネーションを手渡したのだった。

胸がジーンとなった。

“白いカーネーション” への0件の返信

  1. はじめまして。
    「白いカーネーション」で検索したら見つけたのでコメントさせていただきます。
    突然のコメント失礼します。
    母を亡くした方のための母の日を広めようという活動をしています。よろしければブログをご覧ください。
    このブログを見つけてうれしかったです。
    ありがとうございます。

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