腕輪の直しが14~5本。
昼食をとっている最中にも依頼が入る。
この季節、夏場を前にして、通しゴムが気になる時期ではある。
預かった腕輪を見ると本当に持ち主の分身であることがよくわかる。
完璧に切れてしまってからお持ちになる方もいらっしゃるし、
ぎりぎりまで使い込まれて、3~4本通しているはずのシリコンゴムが
一本の・・・(その1本も実は無数に細かい糸が束になっている)さらに細かい構成糸の数本をもって、
なんとかかろうじて繋がっているもの。
蚕が吐き出した糸が絡んでいるような姿になるまで使い込んでいらっしゃる姿。
僕の手に乗せたとたん、はらはらと切れていく腕輪。
ちょっとした感動を密かにする。
糸の体裁は守りながらも、じつはゴムの性質を全く失っているもの。
そんな姿を見るときは、ちょっとした感傷にふけるのだ。