天下の廻りもの

最近、とっても気になることがある。

毎日、売り上げの精算をしていると
必然的にお金の顔も毎日見ることになる。

その顔色が、今ひとつ悪いのである。
そっとひとりで心を痛めている。

子供のころ古銭収集が趣味だった。
それこそ、なめまわすように、
毎日たな卸しをし、
現在庫をチェックをし、
収集見込みを立て、
かつ、カタログを暗記していた。

現在の仕事にこれほどの情熱があったら
いかなるものになっていたろうか。(守銭奴になった可能性は十分あるが)

今では信じられないくらい、お金のことには、
頭脳明晰だった。

軍資金のない子供時代のこと、
お金をかけないで収集しようと思えば
現行コインもターゲットだった。

今では、「お宝…」とかで一般化してしまったけれど
現行コインにも、お宝は多い。

それを集める為に、
わざわざ電車に乗って繁華街に通った。
今で言うゲームセンターに毎日通うのである。
遊びの為ではない。

ひたすら両替機で少ないお小遣いを
小銭に両替した。

発行枚数の少ない10円玉や100円を
見つけては、小躍りしながら帰るのである。

だから、
お金の状態がとても気になる。

実に汚いのである。

特に札の状態が悪い。

まだ、発行されて間もない樋口一葉でさえ
よれよれのボロボロが多い。

酸性雨のせいもあろうが、5円玉などに至っては、
両替し、封を切ったたばかりなのに、
一割近くが、錆を出していて使い物にならない。

おつりとして使うのには、
気が引けるほどだ。

素材が悪くなったのか、
はたまた、使い方が荒いのか。

子供の目であったことを差し引いても
昔は、もう少しきれいだったように思う。

世界でもトップレベルの、美術品ともいえる
日本の通貨が、ぞんざいに扱われている。

コイン収集はとうに、卒業したはずなのに、
いまだに心に痛みを感じる。

人の間を渡り歩く通貨は、
だれよりも、世の中を知っている。

モラルの低下ってこんなことにも
赤裸々な情報として伝えてくれる。
と思う。

もっと大事にしないとね。
自分のものじゃないのだから。

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